2023/05/15 22:52

ダウンや化学繊維(プリマロフトなど)の中綿入りジャケットのクリーニング方法について紹介します。
今回はPatagoniaのダスパーカを洗います。
2000年前半に発売された名作です。
中綿にインサレーションを使用したジャケットで、羽織るとすぐに温かさに包まれます。
機能性が高くシンプルで飽きのこないデザインは中毒性があり、パタゴニアのファンの方々は必ず1着は持っているでしょう。
まさにレジェンドアイテムです。
ただし、使用していくうちに生地がテカったり、手首部分がゆるくなったり、ドローコードのプラスチック部分が破損するなど、避けられないダメージが生じることがあります。
現在、約20年以上前のアイテムなので、状態の良いものを見つけることは難しくなっています。
私自身、ダスパーカが大好きです。
これまでに販売した物や自分用にストックしているものを含め、50着以上をクリーニングしてきたと思います。
ダスパーカを仕入れる際は、襟元、袖、フード内部など、汚れが付きやすい部位の確認や経年劣化によるダメージ、綿の抜け具合などを注意深くチェックし、自分がクリーニングを行って綺麗に仕上げられ、お客様に満足していただけるものだけを取り扱っています。

ダウン・化繊クリーニングではモンベルの洗剤を使用します。
かれこれ10年以上使用しています。
Patagoniaから発売されている専用洗剤もありますが、いろいろ試した結果、コスパなどトータル的にモンベルに落ち着きました。
クリーニング後に撥水剤を使用します。

クリーニング前のダスパーカ。
ぱっと見綺麗な状態ですが…

1、フード部ドローコード収納生地に黒ずみ汚れ。
2、袖外側黒ずみ汚れ。
3、袖内側黒ずみ汚れ。
4、袖内側黒ずみ汚れ。
USED品のダスパーカでよく見る汚れ箇所です。

汚れている箇所にモンベル洗剤を原液でたらし浸透するように手でもみこみます。
その後15分ほど放置します。

35℃~40℃のぬるま湯に規定量の洗剤を入れつけ置きします。

後ほど洗濯機ですすぎを行いますので洗濯ネットに入れ投入。
30分ほど放置します。

30分のつけ置き後、桶の中で1回すすぎを行い、洗濯機で1回すすぎ後に脱水を行いました。
しっかりとすすぎを行わないと洗剤が生地に目詰まりしパフォーマンスを発揮しません。
すすぎは大事です。
9、全体。
10、襟内部。
11、フード部ドローコード収納生地。
12、袖内部。
原液をつけた箇所は全て綺麗になりました。

脱水後、シワを伸ばし乾燥させる前に全体に撥水剤を散布します。
スプレーをした後、手でなじませます。
撥水効果もありますが、一番の理由は発色が良くなるからです。

室内乾燥機で仕上げます。
Panasonicの最新モデル。
ナノイーXによる脱臭・除菌。
衣類乾燥、除湿ができるハイスペックマシーンです。
全体をふっくらと仕上げてくれます。
ダウンに比べ化繊は速乾性があり20分ほどあれば乾きます。

クリーニング前に比べ汚れがなくなり、発色が良くなりました。
乾燥後は全体にシワがありますのでスチームアイロンで取り除きます。

スチームアイロンを使用する際は必ずあて布をします。

いかがでしょう?
シワを伸ばすだけでなく、撥水剤の効果によって発色もよみがえります。





完了です。
汚れが落ち、発色が戻り、軽くなりました。
クリーニングが完了してから撮影、サイズ図りを行い出品となります。
クリーニングというか掃除全般が好きです。
つけ置き後に押し洗いをした時に汚れがブワっと出る瞬間が好きです。
そしてクリーニング完了後に綺麗になったアイテムを見るのがたまらなく好きです。
コレクターさんにも満足頂けるお店を目指します。